カウンセリング理論、キャリア理論など自分に馴染の深い理論や手法はあると思う。種類は小さなものを入れると数百種類ぐらいあるとも言われていて、当然、全てを学ぶことは難しいし無理である。でも、このようなカウンセリング理論やキャリア理論など自分の好みに合うものや使いやすい理論を使えるようにしておくことは、実際の相談場面でとても心強いものである。
今日は、まずカウンセリング理論について、どのようなものがあるのか押さえておいてみようと思う。歴史的な発展から考えて、大きく以下の3つの種類に大分類されると言われている。
① 過去から解放されるアプローチ
このグループの代表的には、フロイトの精神分析があげられる。「精神力動的立場」とよばれるものである。「無意識」という概念を発見したフロイト博士の功績の理論である。この「過去についたこころの傷」のことをトラウマ(心的外傷)というが、人は、この「過去のこころの傷」への囚われから脱却することができない。この「過去の囚われ」に注視ししてしまっている限り、人は、被害者としての一種に被害夢想から抜けきれずに不幸の連続となってしまう。経験豊富な精神分析医によるセラピーにより過去の囚われから解放されることを目指すアプローチである。この精神分析理論は、フロイトが編み出し、その後、ユング、アドラーも結局はフロイトと異なるカウンセリング理論へと歩んでいくが、最初はフロイトのお弟子さんから精神分析医として始まっている。
② 練習するアプローチ
その後に続く第2のカウンセリングアプローチは、「練習するアプローチ」である。行動療法、認知行動療法、論理療法などがこのグループに入る。「認知行動論的立場」をとるカウンセリングである。先の精神分析のように「こころ」という目に見えない、実態を捉えにくいものに注視するのではなく、その人のものや出来事、事柄を捉える「認知や引き続いて起こす「行動」に注視するものである。目に見えず、感覚的なものから、具体的に目に見えるもの、論理的な考え方などで、分かり易さと、実際に精神分析理論より、改善効果が見え、カウンセリングの成功率も上がったと認識されて注目されていった。人は、つい否定的で、ネガティブなものの見方をばかりしてしまい、そのために人生の可能性を閉ざしている人も、もっと柔軟で、前向きな考え方をするように促し、練習していくカウンセリングアプローチである。認知の歪、自動思考、スキーマ、認知の再構成などのキーワードやエリス、ベック、ラザルスなどの臨床医が代表的である。
③ 気づきと学びのアプローチ
そして、引き続き新たなアプローチとして、人間が本来持っている自己実現論や人間性心理学に根幹を見出すもので、その流れの中かトランスパーソナル心理学やNLPなどの近年のカウンセリングアプローチへと発展してきたものである。このアプローチでは、悩み苦しみに直面した人が自分自身を見つめ、人生で起きているさまざまな出来事に意識を向けて、それが持つ意味とメッセージを見出していくのを援助していこうとするアプローチである。温かいカウンセラーとの関係性の下で、自分自身を見つめ、自分の内なる声をきき内省を深めて、自分自身や人生について深くみつめ、気づきと学びを得て、成長していくのである。
以上の3つのアプローチを図にまとめたものが図であり、これは諸富祥彦先生の著書「人生にいかすカウンセリング~自分を見つめる 人とつながる」から引用させていただいた。
この著書で、諸富先生も記されているが、まずは、カウンセリングの大分類や発展の流れを大局的に捉え、そして、自分に合った、自分で使えそうなカウンセリング理論を、より深く学び修得していくことが大切であると。
私は、ロジャース、アドラーに始まり、現在は、認知行動療法、ゲシュタルト療法の2つのアプローチを研鑽している。