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キャリア理論の活用について

 前回はカウンセリング理論について3つのアプローチに分類して考え方を述べた。今回は、キャリア理論について述べてみたい。前回のカウンセリング理論が、自分自身や人を行動変容や行動化へと向かわせるためのある種「動的な理論」とよぶとすると、今回のキャリア理論は、職業選択や意思決定をするときの考え方や関連情報を整理する時の論理性や客観性として有効となる「静的な理論」といえるかもしれない。

 そして、この二つの理論は、車の両輪のように双方が関連性をもち、また、コントロールしあって、目標とするキャリアビジョンへと進んでいくことが出来るのである。そのための知識、スキルという「智恵」といってもいいかもしれない。

 「図:代表的なキャリア理論」を見て頂きたい。ここには、代表的な良く知られているキャリア理論が一覧で分るように記載されている。例えば、キャリアを人生全体を通して考える時に有効な「スーパーの理論」や、自分自身の自己理解と環境・職業での特性である仕事理解との関係性を考える時に有効な「ホランドの理論」、はてまた、人生の色々な意思決定が求められる転機の時に有効な「シュロスバーグのトランジッション理論」などなどが記載されている。

 この分類を見ていただくと分かるように、何か自分自身や仕事、環境との関連性を整理して考えたいとき、意思決定をする転記の場面での意思決定をする際に客観的に整理して考えたいとき、また、過去の自分の価値観や遣り甲斐などを振り返って考え、これからのキャリア構築に向けて整理して考える時に有効な「キャリア構築理論」な。

 このように、その時、その時の目的や必要性で活用できるキャリア理論を自身で持ち合わせておれば、自身の考え方や判断が客観的に考えることがし易くなるし、他者へ同様の場面でキャリア支援する際にもとても心強いものとなるわけである。

 もう一つの図を見て頂きたい。この図は、先ほどの図とまた異なった視点で記載されている図であり、産業心理学、組織心理学、産業・組織心理学という言葉が記載されているように、それぞれのキャリア理論をその理論が考える心理学的なベースを心理学的にどの分野の専門性を強く意識されたものかで分類して表現されたものである。この図の関連性は、前回のカウンセリング理論と今回のキャリア理論との関連性に通じる色合いがにじみ出ているという見方もできるかもしれない。