先日、友人のキャリコン仲間から「相談者と話していて、キャリアプランやキャリアビジョンなんていらないのではないか。偶然の出来事や出会いを大事にしていくことで、キャリアの多くは形成されていく。」という話を聞いた。
つまり、キャリコン仲間の彼が言うのは、たまたま前に相対した相談者から、「今まで、どういうキャリアビジョンで、それに向けてのキャリアプランなんて考えたことないし、その通りには人生は行くはずもない。たまたまの偶然な出来事でそれに対して一所懸命に働いてきただけだ。それで、自分は満足の行く人生である。」と聞いて、キャリコンの彼自自身も、そういわれるとキャリアプランを作ってもその通りにはいかないしなぁ、むしろ、あの相談者が言うように偶然な出来事、クランボルツ教授の「プランド・ハプンスタンス」の5つのスキルがあればいいのはないかというのである。
(※プランド・ハプンスタンスの5つのスキルは以下のURLを参照)
私は、この話を聞いた時に、神戸大の金井教授の「キャリアドリフト理論」が頭に浮かんだ。
この「ドリフト」とは、漂流するという意味で、キャリアビジョンとは相対した言葉であると金井教授は言う。つまり、キャリアプランやキャリアビジョンなどを年がら年中考えるのではなく、いつもは、揺らぎをもって人生を漂流している(つまり「ドリフト」している。)。しかし、何年か毎の転機やキャリアの岐路に立った時には、自身のキャリアビジョンや今後の方向性の選択や判断を考えようという理論である。
(※金井教授のキャリア・ドリフト理論は以下のURLを参照)
つまり、プランド・ハプンスタンスで5つのスキルや行動特性を重視するとしても、自分自身が、どちらのキャリアビジョンの方向性に目を向けているのか。そして、今後の今の先の数年単位のマイルストーンとして、どんな自分でありたいと考えているのかというキャリイメージやキャリアビジョンの方向性を認識しているからこそ、自分の周囲に流れてくる色んな出来事や機会を、逃さずつかむことができると考えることができるのだと思う。
そう考えるとキャリアビジョンやキャリアプランもその明確さや詳細性のイメージ化の加減ではないのかと。全くなくては、身に近づいた出来事やチャンスに気づき、逃さずつかむことはできないのだと思う。