· 

カウンセリングにおける応答とプロセス

 キャリアの資格には、国家資格キャリアコンサルタント(以下、国キャリコン)と同じく国家資格であるが「技能士」としての位置づけであるキャリアコンサルティング技能士2・1級(以下、技能士2級・1級)がある。それぞれの資格試験の構成は同じであるが、各段階の資格毎に求められる要件が異なる。(キャリコンサルティング協議会参照:https://www.career-cc.org/

 

 この各実技試験の中の面接試験として、「15分」、「20分」、「30分」のロールプレイがある。ただし、意外に受験者には知られてないが、各資格の「受験概要」記載内の「面接試験」の記載の最後の部分には、『・・・ような応答、プロセスを心がけてください。』と共通して記載されている。(注:技能士1級試験は、「・・・具体的な指導を行うよう心がけてください。」という記載で他の2つの資格とは記載が異なる。)

 

 国キャリコンと技能士2級試験の面接官は、受験者が相談者(役)と行うロールプレイで、各々の資格に求められている「応答とプロセス」の手法をどこまで、具体的なスタイルとして自分のモノにしているかは大切な部分である。

 また、この「応答とプロセス」にて、自分のカウンセリングスタイルとして恒常的に修得できれば、自分自身の生み出したカウンセリングの「型(フォーム)」として、合格後の現場でも強い味方となる。

 

 この「応答」「プロセス」について本日は書いてみたい。

 まず、「応答」、だれとの応答か?、当然、目の前の相談者(役)との一言一句の応答であろう。皆さんの頭に浮かぶイメージとしては、「関係構築」、「傾聴」と行く言葉が直感的に浮かぶかもしれない。この部分で学ぶときによく引き合いに出されるのが、アイビーのマイクロカウンセリング技法(下図)である。

 資格試験の場合は、初回面談(インテーク面談)の最初の15分または20分の想定で行われる。

 したがって、マイクロカウンセリングのよく見る三角形の下段の「傾聴の連鎖」という部分を意識して、自分の感覚で出来るようにロープレ練習を繰り返す。これは、基本ではあるが、何年、何十年の経験を積んでも、各経験に応じた深い気づきや課題に気づかされる。

 

 次にもうひとつの「プロセス」である。これは、相談者(役)と一緒に作り上げていく面談を進めて行くまさしくプロセスである。これで有名なのは、國分先生の「コーヒーカップ理論」や、キャリアコンサルティング以外の対人支援専門分野でも広く知られている「システマティックアプローチ」があげられる。

 資格試験で意識したい「システマティックアプローチ」は、以下の流れである。

 ・関係構築(ラポール形成)

 ・問題把握(相談者視点の問題、キャリアコンサルタント視点の問題)

 ・目標設定 

 ・方策実行

 ・振り返り(レフレクション)

 

 国キャリコンであれば、ロールプレイ15分間で、目標設定の前までには到達したいという感じであろうか。

 また、技能士2級であれば、ロールプレイ20分間で、目標設定は確実にし、その後の方策を一つぐらいは出来れば良いというイメージであろうか。この15分または20分間の試験でのロールプレイを進めて行くうえで、このプロセスの考え方はとても役に立つし、自分の実践の場でのカウンセリング・フォーム(型)の修得にとても有効だと考えられる。