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キャリア構築はアジャイルでカット&トライか?

 キャリア構築は、自分が将来的に目指したい人物像(キャリアビジョン)を設定して、それに向けて、まずは、これをやって、次の数年にあれをやって、さらにその次には・・・という計画(キャリアプラン)を立てて、やっていきましょう。何て言われていたりはしました。

 ただ、最近は、IT、IOT、VR/AR、AI、DX・・・と技術革新が加速度的な速さで私たちの生活環境や仕事や職業の内容までを急激な勢いで変えて来てますね。そんな自分の思う通りの道筋で進むことは難しくなってます。加えて、そのような仕事や職業の内容が変わってきて、例えば、経理担当業務と物流管理業務を比べてみれば、システム化、IT化、自動化が進んで、どちらでの仕事もパソコンに向かっての操作をする仕事のようにあまり変わりがない職種になってきたりしてませんか。その結果、一人の人が従来の経理担当業務と物流管理業務の両方を兼ねることになるかもしれません。

 

 また、別の視点から見ると、平均寿命が延び、人生100年時代で、70、80歳まで働き遣り甲斐を感じることが出来る時代に変りつつあるかもしれません。それに加えて、新たな職種や業界へキャリアチェンジすることもリスキリングと言って、ITを用いた学習で、短期間で新たな技術をキャッチアップできる時代も遠くないです。

 その長い職業人生時間とリスキリングの短期間での可能性により、一人の職業人として、異なる専門性の修得が早まり、人生数回の異なる職業経験も可能になっていくのかもしれません。

 

 私はもともとIT系のシステム開発での出身ですが、開発の仕方として昔ながらの順番に工程を追っていく階段をの上るように進めて行くウォーターウォール型開発に対して、近年の技術の進展で、扱う道具うや技術が未時間時間で変わっていくことから、まずはモデルとなるシステムや機能評価ができるパイロットシステムを作ってそれを繰り返して、最終的な良いものを作成していくというアジャイル型開発があります。我々の今後のキャリア開発も、このような不透明で、変化に富み、色々と体験や経験をする中で自分のキャリアを作り上げていくアジャイル型のキャリア構築が有効なんかもしれません。人生の時間、自分の専門性チェンジするリスキリングの学習環境もさらに整っていくでしょから。

 

 私が学生であった、40年以上前は今の大学生が職業経験するインターンシップ制度はなかったですし、学生時代に起業する者もほとんどいませんでした。政府は副業を推奨していたり、企業の社員に自律したキャリア(プロティアンキャリア)の構築を進めています。とにかく、まずは、自分の関心や成長が出来そうな職業経験を経験して、カット&トライで試行錯誤していく勇気と決断と諦めない持続性が大切なのかもしれません。

 

 

 上の図を見てください、中央は、逆円錐形で上に伸びるアジャイル的なキャリア構築の考え、そしてそのらせん状の最下部には、

例えば、

「シャインの3つの問い」

 ①自分は何が得意か(Can)

 ②自分はいったい何をやりたいのか(Will)

 ③自分にとっての遣り甲斐・意味づけとは何か(Must)

の3つの円をおいてもいいし、

 「マイケル・アーサーの3つの問い」

 ①自分ならではの強み(持ち味)は?(knowing how)

 ②自分がそれをしたいのはなぜか?(knowing why)

 ③自分はだれと繋がり、その関係性をどう活かしてきたか?(knowing whom)

 

 それぞれの自分の3つの円を意識しながら色んな経験を試して、そこから自分の目指すキャリアを見つけながらアジャイル的なカット&トライの試行錯誤で、上へ、上へとキャリアを構築していく。そんなキャリア構築の考え方が大切なのかもしれない。

 

 最後に、アジャイル的なキャリアのカント&トライは、別に転職までの選択をしなくても、副業で、週末起業家で、仕事以外のボランティア活動で、などの機会を活用することも考えられます。また、企業内のユニークな制度がもしあるなら、社外への越境留学制度(注③)、試し(トライアル)配属制度、チャレンジ事業化制度などの所属する会社の制度を活用していく方策も今後増えてくるかもしれません。

 逆に見れば、就活生が企業を選ぶならそのような、正社員としての安定な立場で、自己成長がよりできる機会を制度として整備している会社の選択を望むかもしれませんね。そして、そのような考え方の企業が、就活生を含む求職者から選ばれる人気のある企業になっていくのかもしれません。

 

注①:リスキリングとは、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶことで今までと異なる専門性や職種が出来るようになることを目指すものです。現在注目を集めているきっかけは、2020年のダボス会議において、「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表されたことであった。

 

注②:プロティアンとは、「変化し続ける」や「変幻自在な」という意味があり、ギリシャ神話に出てくる海神プロテウスに由来する。このプロテウスのように、社会の変会に応じて、自分の意思で自由に姿を変え、形成していくキャリアのことをさす。

 

注③:越境留学制度とは、普段勤務している会社や職場を離れ、まったく異なる環境に身を置き働く体験をすることから新たな視点などを得る学びのことで、他社留学、社外留学とも呼ばれる制度である。